2011年7月15日金曜日

高エネルギー外傷

2週間ほど前の話。

外科当直だった自分に連絡 
「バイクの転倒事故がきます」

前日に院内のJATECの講習会に参加していたので、1・2年目の先生にprimary /secondary surveyについて思い出しながらやろうかといって対応してました。

名前を問うと答えるし、痛いとこを聞くとそこをさわるし、目はちゃんと開けてる
この段階でGCSはE4V5M6だねって

primary surveyではA/BはOKって判断になったんだけど・・・
「やや呼吸回数が多くねぇか?  胸にも擦過傷あるけど、胸郭の動きにトクには問題ないし、呼吸音は大丈夫・・・
でも・・・やっぱりいやないくつかの疾患が思い浮かぶわけだよね。

BP/HRは?問題なーし。SpO2もOK
末梢冷感もないし。

じゃ瞳孔は?瞳孔不動はない、対反は十分。

そんなこんなでオーダーしてた胸部と骨盤のレントゲンが登場。

撮影して写真を待ってる間にまだのこっていた着衣をとって、ログロールして背部とか目につきづらいとこを観察、目立った外傷はないね。

レントゲンできたから肺は?
「気胸とかはなさそうです!」
「よっしゃー」

secondary surveyでも特には問題なさそう・・・でも・・・

呼吸回数が増えてないか?

かなりのスピードでの店頭だから、頭から足先まで評価しないと。
vital安定しているからCTにいくか。


CTに行って、スキャン中は俺がプロテクター着けて中に、1.2年生はモニター室にいたんだけど・・・。
撮影終わってすぐなかに入ってきたよ。

写真は?って聞くと、モニター室の技師さんが「気胸がありますよ!かなりの!!」


「なぬ!?」

ってなわけで見ると気胸。
かなり虚脱してるから、すぐにドレナージしないと!!!


ってなわけで救急外来に急いで戻ってトロッカーの準備をさせましたとさ。




最初のレントゲンができた段階で、もう少しよく見てたら気付くものがありました。
肺尖部ははっきりはわからなかったけど、心陰影にそってうっすら透過性の更新している線がありました。
大丈夫そうですってことばに先入観をもってしまった自分に反省。。。

トロッカーを急いで入れたんだけど、この時もやっぱり病院ならではの問題があってね(涙)
自分は研修医上がりの3年目だから、自分だけでトロッカーを入れるとか侵襲の強い処置はやるのはちょっと・・・って看護師さんからいわれたのさorz

そりゃ、病院的な問題もあるわけだけど、レントゲンとってからCTとるまでの間のこの変化はやばいから外科の上級のDrが来るのなんてまってられないんですっていいましたさ。
で、自分でトロッカーをさくっといれました。
何を隠そう、前の病院でかなりの数(研修医としては)の処置をやってきたたまものです、スムーズに行きました。

CTで血気胸の所見だったので、26Frのダブルを準備してもらいました。乳頭よりやや下のレベルの中腋窩線上より背側に向かて入れました。

呼吸状態は改善しました。


結果よくなったからよかったけど、やっぱりあの胸写をもっとちゃんと読めてればっていう後悔がでてきます。

ドレーン抜去のタイミングは・・・
・100ml/day以下となったらOK  と習った。
ちなみにopeとなるものとしては・・・
・100ml/h以上の出血が5時間以上続くもの
・短時間の間に1000ml以上の出血があり、かつ出血が持続
・空気漏出が著しいもの

と確かならった。もう一回復習しとこorz


ちなみにBojyarの本によると・・・心外術後再開胸の目安は・・・
・400ml/h以上が1時間以上
・300ml/h以上が2-3時間
・100ml/hが4時間

だってさ。



余談ですが、この患者さんをその後呼吸器外科にコンサルトして、エアリークが続いたってことでVATSとなったとさ。

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